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  • 執筆者の写真山田

臨床家の頭の中身③


僕の経験ではありますが、「自分で意識していないと、どうしても得意(と自分が感じている)技術だけを使って問題を解決しようとしてしまう」傾向が垣間見られます。

下手すると、「ボーッと、同じことをして、『なんだか、変化を感じないなあ』とボヤく」ことさえあります。


もちろん、一つの技術を徹底的に鍛え抜くことも大切ではありますが、一つの技術や知識だけでは解決できない事の方が多いように思います。


そこで、最近(やっとかい!と自分ツッコミ(^_^;))、「どのような問題に対して」、「どのような技術を用いるか」、「その結果どうだったか」を自分なりに整理しながら臨床を実施するよう心がけています。



どのような技術を、どのような症状に対して、どんな風に考えて選択しているか、を記事にしてみます。


40代後半のクライエント。「歩き方がおかしい」ということで僕のところに通われています。

整形外科を始め、整骨院や整体にも通い、歩行指導なども受けたことがある、とのことですが、なんだかしっくりこないまま年齢を重ねています。


クリニカルリーズニング、臨床推論、なんと呼んでもいいのですがとにかく、「歩き方のどこがおかしいのか」、「どこで違和感を感じているのか」、「歩行時の姿勢保持、上肢の状態など」を詳しく見て、「歩き方がおかしい」要因を特定(仮説)する知識と技術がここで必要とされます。


話を聞いていくうちに、

「高校生の時には野球少年だった。その時に、右肩を痛め20代で自覚したのが『なんだかか歩きづらい』だった」というヒストリーをお持ちです。

ここでは、カウンセリング的なコミュニケーションの技術と今の体の状態、以前の体の状態の想像、など多岐にわたる想像力と統合力を必要とします。


ああ、肩甲帯の問題があるのかもしれないな、という目で改めて歩行を見てみるわけです。

ここでは、「歩行の正常要素」という知識が必要です。



さて、数回のセラピーの結果、だいぶ歩きやすくはなってきました。で、本日の訴えが上の通りです。


評価の技術は上記したとおり。

でも、訴えが具体的になってきているので、更に細かい「歩行中の股関節の役割と筋作用」についての知識、それを評価する目が必要です。



上記の技術を駆使して、クライエントの身体側面での評価をとおし、「何を解決しなくてはならないか」を絞り込みます。

評価の中には、治療も含まれます。評価と治療はつねに同時進行なので、「関節の違和感、硬さ、緊張の度合いを変えてみる」ことで新たな側面が見えてきて、さらに問題を絞り込むことができます。


そこで、新しい現象を目の前にして、初めて「悩む」訳ですね。「あれ?これって、なんでこうなっちゃうんだ??」




相変わらず、右肩甲帯の引き込みが問題なのだな、と納得するわけです。しかし、静的な姿勢保持や、「ちょっと歩いてみてください」といったときは観察されなかったので、見過ごしていたのだな、と改めて自分のリーズニングの甘さに嫌気がさします。まあ、そんなことしょっちゅうですけどね。


というわけで、とにかく「結果を出す」ことが重要ですから、自信をもってできなくても、いろいろ工夫しながら姿勢の保持による体幹の支持性向上と右下肢を後方に置くときに、右肩甲帯が引き込まれないようなパターンを練習します。



このような流れで、考えながら、確認しながら、「左下肢の振り出しやすさ」を改善したのが先日のセラピーでした。



知識の蓄積や技術の習得には、時間がかかるものです。

先日もね、ナイトセミナーの参加者が「ボバースのベーシックコース受講したらこれらの技術使えるようになるのですか?」って聞かれたのでこうお答えしました。「ベーシックコースにでると、一応の技術は紹介してもらえるけど、使えるようになるには自分で研究しないと難しいね。」ってね。



ナイトセミナーも第3期になります。

前回2期の反省を生かして、もっと積極的な学びの場にするために、1回1回のテーマを明確にしてディスカッションする時間をたくさん取ろうと思うのです。


例えば、「姿勢・動作分析」の1回目は、「臥位」についての姿勢、そこから側臥位や起き上りへ移行する「動作」その正常要素と個別の分析。困難性を感じた時の対処法を練習。なんて流れを考えています。


ナイトセミナーは、まだ参加募集中だから、「もっと勉強した。少人数でみっちりやりたい。講師に気軽に質問したり確認したりできる機会が欲しい。」という方は、このブログのトップにあるメニューでMoreをクリックすると、「Will Labo主催 ナイトセミナーの詳細」が出てくるから、参考にしてみてください。


作業療法士の山田でした。


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